G-8DB0TDY6KN GOHAN Leaders対談/「焼き芋 すずのね」村野美和子さん×「パンとおやつに糀」鈴木学未さん/Vol.2|Minnaごはん
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GOHAN Leaders対談/「焼き芋 すずのね」村野美和子さん×「パンとおやつに糀」鈴木学未さん/Vol.2

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飲食店のオーナーや料理・栄養の専門家などに、ごはんストーリーやレシピをお伺いする「GOHAN Leaders」(ごはんリーダーズ)。今回は、東京都・武蔵村山市で子育てをしながら店を営む二人の女性の対談を3回にわたってお届けします。今回は連載2回目です。Vol.1もどうぞご覧ください。

村野美和子さん(左) 

東京都武蔵村山市在住・長崎県五島市出身。大手洋菓子メーカーのカフェコーナーの仕事や総務の仕事などを経て、2022年12月に「焼き芋 すずのね」(以下「すずのね」)をオープン。3人のお子さんのママ。 

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鈴木学未さん(右)

東京都武蔵村山市在住・沖縄県出身。家族のパンやおやつを作る日常から、長女がきっかけで、作業療法士の資格を取得。作業療法士を続けながらシェアキッチンでの修行を経て2023年1月に「パンとおやつに糀 ohana」(以下ohana)をオープン。3人のお子さんのママ。https://pankoji.com/
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画像をクリックすると、お二人のお店「焼き芋 すずのね」「パンとおやつに糀 ohana」が掲載されている情報誌を読めます。お二人の記事はP.4です。

対談スタート

GOHAN Leaders

Vol.1では東京都武蔵村山市で「焼き芋すずのね」を営む村野 美和子さんと、「パンとおやつに糀ohana」を営む鈴木 学未さんの紹介や、つながりについてお話を伺いました。今回はお二人に、なぜ「焼き芋」「糀」で起業したのか? 素材や起業にフォーカスしてお話ししていただきます。

原田あやめ(『Minnaごはん』編集長・調理師・保育士、以下「原田 そもそも、お二人が「焼き芋」「糀」を食材に選んで、お店まで開いたのはどうしてなんでしょう。食べるのが好き、料理が好きでも、お店を開くとなるとかなり勇気がいると思うんですが。

鈴木学未さん(「パンとおやつに糀 ohana」店主・以下「鈴 木」) 作業療法士として働く中で、食が整わないと、どんなに体を動かしても体ができないという実感は常にありました。そんな中、長女が脳性麻痺で産まれて、彼女に私ができる事は何かなと考えたとき、「ごはんをちゃんと作ろう」と決めました。そして、野菜ソムリエ資格を取ったんです。成長した長女はパンが好きになって、本を見ながらパン作りも始めました。それと、長女は3歳の時までなかなか言葉が出なくて、言えるのは「ママ」だけだったんですけど、彼女が大好きなチョコレートを作って「チョコレート」「ちょうだい」の「チョ」から言葉を出す練習を始めたんです。

甘酒を使ったスコーンはざくざくで食べ応えも◎。
一番人気のあんバターサンドも自然な甘さ。

原田 料理と子どもの成長が密接しているんですね。


鈴 木 そういう状況の中で私が体を壊して、回復しようとプロテインを飲んでいたんですが、逆に肝臓を悪くしてしまって。そのときにたまたま出会ったのが甘酒でした。甘酒はアミノ酸もすごく豊富で、飲んでいたら少し体が回復してきました。最初はパンづくりに甘酒は使っていなかったんですが、国分寺市のシェアキッチンに出店して、しばらくしてからパンやスープに甘酒を加えはじめました。そうしたら、健康志向のお客さんが来てくれるようになったんです。


原田 シェアキッチンでも出店されていたんですね。


鈴 木 当時から武蔵村山市でお店をやりたかったので、その練習で出店したんです。「半年間、毎日完売して、お客さんの9割が常連になったら店舗を持てる」って自分の中で思っていて。


原田 どうしてお店を出したかったんですか?

鈴 木 将来的に長女が大きくなったら送迎のために私がフルタイムでは働けなくなるので、長女が高校卒業後に一緒に働ける場を作りたい、武蔵村山で糀を広めたいということもあって。

原田 なるほど、ありがとうございます。村野さんは、なぜ焼き芋のお店をつくろうと思われたんですか?

焼き芋クリームのかき氷

村野美和子さん(「焼き芋 すずのね」店主・以下村 野 一言で言うと、できそうだったから(笑)。私は洋菓子メーカーのカフェ部門で働いていたことがあって、総務の仕事などもしたんですが、飲食店での経験が楽しかったんですよね。作って接客して販売してという、全部の作業を一人でやって、スタッフやお客さんとのコミュニケーションも好きで。
それで、飲食店をやろうと考えたときに、双子の保育園児と2歳の子を育てている自分のキャパ的にケーキをつくるのは大変だけど、焼き芋ならできそうだと思ったんです。保健所の営業許可を取るのがほかのものよりは簡単だったということもあって。

鈴 木 気持ちはわかる(笑)。糀で結構、営業許可に苦労したから。甘酒がなければもっとすんなり許可が取れたんだけど。

村 野 菌だから?

鈴 木 そう。

原田 扱うものによって営業許可を取る条件もいろいろなんですね。焼き芋との出会いは何だったんですか?

村 野 インスタを見ていて、たぶん焼き芋づくりをしている人をたまたま見たんじゃなかったかな…。

原田 鈴木さんと村野さんのつながりもインスタから生まれていましたよね。インスタ、すごいですね(笑)。

鈴 木 うち、集客はほぼ100%インスタですよ。

村 野 うちもそれに近いですね。ご近所さんが通りがかりに「焼き芋屋出来たの?」と言って寄ってくだることもありますが。

原田 あの焼き芋の壺?もなかなかのインパクトじゃないですか。あれも看板になっているんじゃないですか。

村野さんの夫・寿典さんが市販の植木鉢を使って手作りした焼き芋を焼く壺。二つの鉢を合わせている。


村 野  そうですね。


鈴 木  あれ、夫が植木鉢でつくってくれたお手製でしょう? 「鉢焼き芋」っていう名前にして、「えっ何、鉢焼きって」みたいな興味が沸きそうだし、かっこいいなと思う。


原田 DIYプラス芋みたいな(笑)。


村 野 そう、DIY手作り感で。


原田 焼き芋は、原材料が芋だけて添加もしないから、体によさそうですよね。砂糖を使っていないですし。糀もそうですよね。砂糖を使わずに甘味を出せる。

鈴 木 そう、だからもっと糀を広めたいんです。糀や甘酒を食べてもらうきっかけとしてパンとかお菓子とか甘酒のジュースを作っていて。腸が整えば子供達の発達も良くなる実感がありますし、砂糖を摂りすぎると怒りやすかったり、日中の覚醒が低かったりするんです。作業療法士として子どもに関わって、その子の調子がおかしいなと思うときに「今日何食べたの?」と聞くと「菓子パン!」とか「朝はジュース1本!」とか。

原田 糖質は脳の栄養とも言いますけれども、糖もいろいろな使い方があるんですね。


鈴 木 甘味って大事ですよね。最初から持ってる味覚だから子どもが食べやすいというか。


村 野 「焼き芋で元気が出るのよー」ってちょこちょこ買ってくださる方もいるんですよ。


鈴 木 幸せホルモンが出るのかな?


村 野 何ですかね? 手軽なんですよね。


鈴 木 手軽に健康なものが食べられるって大事だよね。


村 野 冷やすとさらに栄養が増すらしくて、冷やし焼き芋も売っています。


鈴 木 レジスタンストスターチっていう腸活にいいデンプンがあって、それが冷えることでより力を発揮してくれるんだって。


村 野 腸活だし、赤ちゃんから食べられるんだよね。焼き芋は、アレルギーを気にしなくていいっていうのも大きいと思います。近くに保育園があって、ママさんとかに来てもらって。この間、来てくださったお客さんは「最近、子どもの体調が悪くてあまり食べないけど、焼き芋なら食べるかな」…って買って行かれて、後日「食べてくれたんです! ありがとうございました」って、わざわざまた足を運んでくださって。

原田 それはうれしいですね。

村 野 ほかにも、食べムラとか好き嫌いが多い赤ちゃんが食べてくれたとか、近所のおばあちゃんが、「遊びに来た娘や孫に食べさせてあげたい」と買いに来てくれたとか。そういうのを聞くとうれしいですね。

鈴 木 焼き芋は、食物繊維もあるので血糖値の上昇がゆっくりで、そういう自然なおやつがいいなと思っていて、私もよく買って行っておやつにしています。うちの子も、焼き芋が好きなんですよ。

村 野 ありがとうございます(笑)。


鈴 木 どういたしまして(笑)。何を食べるかが大事だよね。私、タンパク質とかが吸収されにくい体質みたいで。甘酒とか塩麴で一晩漬けるだけで、タンパク質がアミノ酸に分解されて柔らかくなって、咀嚼が苦手な小さいお子さんや高齢者でも、栄養が吸収されやすい状態で食べられるんです。


村 野 奥が深い。まだまだ知らない世界がいっぱいありそう。


原田 糀、すごいですね。


鈴 木 すごいんですよ。この辺にも糀菌、いっぱい浮いているから。


原田 え? それを集めて、みたいなことなんですか?


鈴 木  糀の菌がその辺にいて、糀屋さんとかは採取して、培養して。私はそこからはできませんけど、お砂糖の代わりに甘味をつけるときは、全部甘酒を使っています。


原田  自分で作って?


鈴 木  はい。今は夫も、自分で甘酒を作れるようになりました。私より上手(笑)。


村 野  えー! もう、鈴木さんちの子になりたい(笑)。


鈴 木  いやいや、でも、たまに味付けの肉を買って夕飯作ったりもしてるよ。


原田  絶対、「これしかやらないのよ」ってなるとつらいですよね。Minnaごはんも、若い人たちが無理なく健康な食事を続けて行けるように発信したくて。


村 野  やっぱり継続、続けるっていうのが大事だと思うんですよね。手軽なおやつ。焼き芋がぴったりですね(笑)。


原田 そうそう、焼き芋と甘酒。


村 野 あまり値段を高くしたくないなっていうのもあって。


原田 村野さんはお義父さんが大工さんでお店を作ってくれたり、夫が鉢で芋を焼く壺を作ってくれたり。鈴木さんは、営業日は夫が一緒にお店を切り盛りしてくれていますよね。お二人ともご家族が協力的というのがすごくいいですよね。

Vol.3に続く)

次回は、お二人の家族や子育て、地域の子育て支援への協力、生まれ故郷の郷土料理にフォーカスしてお届け。お二人から聞いたレシピもご紹介します!

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